06.aug.2015


私の両祖父ともに第二次世界大戦を生き残った。母方の祖父は足のすねに大きな銃弾の痕を持ち、小さい時に何度も見せてもらったというのに、何故その傷ができたのかは一度も聞いた事がない。

父方の祖父は最後は奇跡的にシベリアから帰還できたと聞く。彼の口からも戦争という言葉すら出た記憶がないので詳しくはわからない。

動植物を愛した母方の祖父、本と映画が好きで大正ロマンを生きた父方の祖父。いつも穏やかで、物を作る楽しさは二人から学んだ。当時は幼すぎて彼らが通って来た壮絶な人生が存在することすら考えもせず、物心ついた頃には自分の人生を生きることに忙しく、また未熟な私は尋ねる言葉も持たなかった。

70年前の7月11日仙台が焼け野原になる。

そして70年前の今日8月6日広島に原爆が落とされた。

忘れてしまった瞬間に歴史は繰り返される。

二人の頑に沈黙を守るその記憶の闇と痛みはどれほどのものだったのだろう。話を聞く機会は永遠に失われてしまい、今はただ語られなかった彼らの時代の波と戦争に思いを馳せ、心の中で手を合わせる。


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